厚生労働省は、本年7月19日、職場における化学物質等の管理のあり方に関する検討会」報告を公表しました。
法規制の対象となっていない化学物質による労働災害が全体の約8割を占めることから、規制の対象を大幅に拡充するとともに、事業場による自律的な管理を基本とするというもので、これまでの化学物質規制を大幅に見直すことになります。
報告のポイントは以下のとおりですが、厚生労働省では、本報告に基づき、関係法令の改正を検討する方針です。
【検討会報告のポイント】
○SDS交付義務対象物質を大幅に拡充 (GHS分類危険有害物) し、リスクアセスメントの実施とその結果に基づく措置の実施を義務付け
○化学物質の「ばく露限界値(仮称)」を設定し、示された数値以下となるよう管理することを義務付け
○現在、有機溶剤中毒予防規則、特定化学物質障害予防規則等で規制されている物質については、5年後を目途に上記リスクアセスメント等に基づく自律的な管理に移行できる環境を整備したうえで、個別具体的な規制は廃止
○上記対象物質の製造・取扱いを行う全業種・規模の事業場について、「化学物質管理者」の選任を義務付け、
○「化学物質管理者」について、国は、化学物質管理者に必要な知識・技能を付与するための教育体制を整備、化学物質管理者が継続的に必要な知識・技能を得ることができるよう、労働安全衛生法第 19 条の2に基づく能力向上教育の対象に追加
○保護具使用事業場について、「保護具着用管理責任者」の選任義務
○「職長教育」、「雇入れ時等教育」の実施対象業種の拡大
○有機溶剤、特定化学物質(特別管理物質を除く)、鉛等の特殊健康診断の実施頻度について、一定の要件を満たした場合、1年以内に1回に緩和
などとなっています。
なお、本報告には、「現在の特化則等における作業主任者に相当する者として、自律的な管理において労働者を指揮する立場となる職長」という記載があり、「化学物質管理者」の指示により、「職長」が作業者に指示を行うものとされていますが、現在の化学物質に係る作業主任者制度が廃止されるのか、又は、一定の物質について継続されるのか明記されていないことから不明です。
※ 報告公表文
<「職場における化学物質等の管理のあり方に関する検討会」の報告書を公表します>
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_19931.html